シンガポールで街を歩いていると、肌の色や服装、話す言葉が違う人たちがたくさんいることに驚きます。様々な人種の人が共存している都市としてはアメリカのニューヨークが有名ですが、シンガポール国民の民族も多様で、最近は観光客も戻ってきているので、小さな国の中に様々な人たちが入り混じっていて興味深いです。

多民族な国民と外国人の多さ

1.jpg シンガポールの人口は約569万人ですが、そのうちシンガポール人や永住権を持っている人は約7割で、残りの約3割は外国人です (※1)
 国民の民族は、7割強が中華系、1.5割がマレー系、1割弱がインド系です。公用語は英語、中国語、マレー語、タミール語の4言語で、第1言語は英語です。



2.jpg 言語だけでなく、宗教も多様で仏教、道教、イスラム教、キリスト教、ヒンドゥー教などが信奉されています。
 「チャイナタウン」や「リトルインディア」、モスクが特徴的な「アラブストリート」、プラナカン文化のカラフルな建物が並ぶ「カトン地区」など、特定の文化が色濃く出ているエリアもあり、それぞれに街角の雰囲気や歩く人々、飛び交う言語がガラッと変わり、多民族国家シンガポールらしい風景が見られます。

3.jpg ちなみに、2022年10月時点でシンガポールに住んでいる日本人は3万2,743人 (※2)で、総人口の1%にも満たない数ですが、街中で日本語が聞こえてくる頻度は高く、個人的には日本人が多いと感じています。

国旗が空を飛んで来る!ナショナルデー

4.jpg 様々な文化がミックスしているシンガポールですが、それぞれの民族や宗教を尊重しつつ、国民としての一体感を醸成する取り組みが感じられるのが、毎年8月に国を挙げて盛大に行われる「ナショナルデー」です。ナショナルデーは、シンガポールが1965年にマレーシアから独立した日を祝う国民的なイベントです。

 6月下旬頃からヘリコプターや戦闘機の音が聞こえてくると、ナショナルデーが近づいているのがわかります。
 これは、ナショナルデーの航空ショーを行う空軍のリハーサルで、本番までの間に日常的に行われます。ヘリコプターに掲げられた大きな国旗が空を飛んでいるのを初めて見た時は驚きました。

5.jpg また、7月に入ると、窓からシンガポール国旗を掲げる家が増えてきます。特に国民の約8割が住んでいるHDB(国営住宅)では、ほとんどの家で国旗を掲げることもあり、等間隔に並ぶたくさんの国旗は圧巻です。

 そして、ナショナルデーの日は国旗をイメージした赤や白い色(国旗の赤は「普遍的な親愛と国民の平等」を表し、白は「永遠の高潔」を表している)の服を着て外出をする慣習があります。シンガポール国民にとってこの日は、国が歩んできた歴史を振り返りながら、お互いを理解し、共に祝う大切な日の様です。

 当日の式典はシンガポール国民しか参加できないのですが(しかも高い倍率の抽選に当たらないと行けないそう)、航空ショーは国中の至る所から見ることができますし、フィナーレの華やかな打ち上げ花火も毎週末にリハーサルが行われるので、外国人居住者や観光客にとっても、この時期ならではのイベントでもあります。

 ダイバーシティと言えば、私が平日夜に通っている英会話スクールのクラスメイトも、日本人、韓国人、中国人、マレーシア人、ベトナム人、ロシア人、クウェート人、ブラジル人と正に多様です。
 職業もTikTokのエンジニアから外交官まで幅広く、こんなに身近に様々な国籍の人と交流ができるのはシンガポールならではだと思います。クラスメイトとの会話を通じて、他国の現状や生活習慣、仕事の仕方や考え方の違いなどを知ることができ、本来目的の英会話以外にも学びの多い場になっています。

※1 ジェトロ-国・地域別に見るアジア-シンガポール-概況・基本統計
 https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/basic_01.html
※2 外務省-海外在留邦人数調査統計
 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/

 経営企画室 平野