株式会社オオスミの分析技術グループでは、仕事柄、たくさんの紙を使います。
 みなさんも普段の生活でたくさんの「紙」を使うと思いますが、その「紙」について、考えたことがあるでしょうか。
 4月から分析技術グループでは、お客様からお預かりしたサンプルの分析値を報告する計量証明書等に使用する紙にFSC認証紙を導入しましたので、今回はそのことについてお伝えします。

そもそもFSC認証紙とはなんなのか

 コピー用紙等、紙の製造には、木材が必要です。 近年では、違法な伐採や、植林地開拓のための火入れ等により、世界レベルで森林減少が問題となっています。森林破壊は、特に熱帯の地域で深刻化しており、森林に生息する野生生物や、森林の中や周囲で暮らす先住民族の人々も暮らしの場を奪われています。FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)の目標は、このような森林の問題を解決することにあります。

 FSCは、適切に管理された森林からの木材を区別して購入できる認証制度の必要性が検討され、26カ国の環境NGO・林業者・林産物取引企業・先住民団体などが中心となって設立されました。FSC認証は、森林の管理の認証と、加工・流通過程の管理の認証から成り立ちます。FSC認証製品は、森林から最終製品になるまでの生産、加工、流通にかかわるすべての組織が認証を受けなくてはなりません。厳しいですね。
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 その厳しい認証を受けているので、消費者はFSCマークを目印に製品を選ぶことで、森林の生物多様性を守り、地域社会や先住民族、労働者の権利を守りながら、適切に生産されたものを購入することができるのです。利己的な違法な伐採、乱伐による木材によって作られた製品は購入しません!という意思表示にもなります。
 さらに、持続可能な開発目標SDGsの14の目標と40項目のターゲットに対しても貢献します。(詳細はFSCの公式サイトをご確認ください。)
 間接的でも、環境保全に貢献している気持ちになれて嬉しいですね。

導入過程で試したこと

 FSC認証紙にはいろいろな種類が存在します。選ぶポイントは、①紙の質 ②コスト の2点を重視しました。
 ①については、今回は主に分析技術グループが成果品としている計量証明書・分析結果報告書(お客様へ分析結果を報告する書類)に使用する紙に対する変更でしたので、紙の色(見映え)と紙の厚さ、触り心地についてなどを、4種類のサンプルを取り寄せ、実際に印刷してみて検討しました。分析技術グループの数名にアンケートを取り、投票の結果、優勝したのが今回導入した紙です。実際に手元に届いたお客様はいらっしゃいますでしょうか。もしよろしければ、感想など頂けると嬉しいです。

syouninsi.png ②については、今回の変更で削減するというよりは、どれくらい変わるのか、を比較しました。今回導入する紙は、これまで使用していたリサイクル紙よりも上質なFSC認証紙であるため、さぞ高かろうと思いきや、1枚当たり¥0.05の差しかありませんでした。他の種類の紙では、リサイクル紙よりも安いものもあり驚きました。このくらいの差で「間接的な環境保全への貢献」を上乗せできるなら、変更して損はないですよね。

実際に導入してみて

haro2.png 上質な紙というのは、気持ちが上がる気がします。
 紙の質が向上したので、朱肉の色が綺麗となり、印影もはっきりとして映えるようになりました。従来の紙だとインクが少量になったときに掠れてしまことが多々ありましたが、少量でもしっかりのります。押印をするのが楽になりました。また、紙が厚めになったので、ちょっとやそっとでは折れなくなりました。報告書類ですから、紙の厚みも大切です。

 お客様から紙に対する感想はまだ戴けていませんが、紙が変わったのだなぁと、紙の変化に気付いてもらえると嬉しいです。FSCのロゴは紙一枚一枚には載せられないので、FSC認証紙であるということが伝えられないのがもどかしく感じます。

 このブログを読んでくださったみなさんが紙を選ぶとき、物を選ぶとき、その商品がどうやって手元に届いたものなのか、少しでも考えるきっかけになっていただければ幸いです。
 最後まで読んでいただきありがとうございました!

 ※参考:FSCジャパン「森を守るFSCマークとは」https://jp.fsc.org/jp-ja/About_FSC

 分析技術グループ 日野