suido.jpg「オオスミ」が生業にしている水質検査には純粋な水が不可欠です。分析項目や使用する装置の要求に沿って蒸留水やイオン交換水、超純水といった水を使っています。これらの水は水道水をもとに、それぞれ専用の装置で調製しています。
 これらの水は洗浄瓶などの容器に採取して使用します。純粋な水も採取してから時間がたつと、空気中の不純物が溶け込んで、純度が落ちてきます。江戸っ子は「宵越しの銭は持たない」といいましたが、分析技術者は「宵越しの水は使わない」が原則です。

分析には大量の純粋な水が必要

 分析中に水が足りなくなると不自由なため、どうしても大目に採取するので、この分析には使えないけれども、水道水よりもはるかに純粋な水が毎日何リットルか余ってしまいます。
 また、私ども試験・研究機関の「流し」は水質汚濁防止法の「洗浄施設」という「特定施設」に指定されていますので、流しの水は万が一に備えて、全部、処理してから下水道に放流しています。つまり、流しに水を捨てるとお金が掛かってしまうのです。
 調製するときにお金が掛かっている水を捨てるときにもお金を掛けるというのは貧乏性の私には耐えられず、何かに使えないかと、考えました。

貧乏性の私が実践する水の再利用

 まずは、湯せん(ウォーターバス)や高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)への補給、恒温水槽に混合するなどの再利用を優先します。

 秋から春にかけては、加湿器に補給しています。その加湿器には加湿の種類が3通りあります。
それらの特徴をあげると、
 1.加熱方式:お湯を沸かして蒸気を出す方式で補給水は水道水でよい。
  消費電力が大きい。
 2.通気方式:水を浸み込ませたフィルターに風を送り込むことで水を蒸発させる方式。
  補給水は水道水でよい。
  消費電力は1と3の中間。
 3.超音波方式:超音波で水を蒸気にさせる方式。
  水をそのままのかたちで蒸気にするため、純粋な水を補給する必要がある。
  消費電力は少ない。
となります。
余る水は純粋なものなので、超音波方式の加湿器に向いています。
消費電力も少ないのでこれを2台、事務室に準備して風邪の予防に役立てています。

 それでも余るときは、夏には社屋の南側の通路に「打ち水」をしています。
昨今の暑い夏には「焼け石に水」かもしれませんが、排水処理に掛けるよりもエコ(economy?)ですしね。

分析技術グループ 三堀