春から"ニオイ"は目立ちます!
~臭気判定士 相馬秀樹インタビュー中編~
特にこれから注意と対策をしていかないといけない業界とは?
ーーこのインタビューでは特に、「企業の」というところにフォーカスしてお聞きしたいのですが、特に経営者が意識しないといけない「業界」と「実際に多いクレーム」をそれぞれ事例も交えてお聞きしたいです。
相馬|
そうですね。悪臭問題は業界によって特徴が異なりますので、それぞれの状況を3つの事例で解説しましょう。まず、身近なのは「飲食店」が挙げられますが、最近ではコンビニやスーパーへの苦情も増加しています。この背景には、コロナ禍で外食の機会が減少する一方、店舗内調理技術の進化により「できたて」商品の需要が急拡大していることがあります。
これらの住宅街に立地する店舗では、近隣住民への騒音や臭気への配慮が非常に重要となります。
ーーお客さんの立場としては「店内調理」ってありがたいですけどね...。でも、それを利用しない人にとっては迷惑ということですね。
相馬|
その通りです。特にコンビニは24時間営業ですから、朝から夜中まで油臭や焦げた臭いが漂うことにより、「窓を開けられない」、「洗濯物に臭いが付く」、「布団が干せない!」といったクレーム問題が生じます。その結果、住民は24時間エアコンを使用せざるを得なくなり、電気代の増加も不満や怒りを引き起こす原因となり、クレームに繋がるのです。
こうした問題への対策としては、店舗での定期的な換気設備のメンテナンスや脱臭フィルターの導入が効果的です。
ーーこれは、すごく身近な問題ですね。
相馬|
2つ目には「畜産業界」です。特に飼料や家畜の糞尿が主な臭気源となります。 酪農場や養豚場では風向きによって悪臭が周辺地域に拡散することが多く、「生活に支障が出ている」といったクレームが頻繁に寄せられています。
これを防ぐには、糞尿の適切な処理に加え、臭気を減らすためのバイオフィルターの導入や消臭液の噴霧が有効です。
ーー牧場の近くに行くとよくわかります。
相馬|
あとは「化学工場」ですね。原材料や製造工程、廃棄物処理、排水処理など、臭気の発生源になりうる、配慮すべきポイントが沢山あります。 法規制の遵守、悪臭防止法や地方自治体の規制を確認し、それらの基準を満たすように管理することも求められています。工場の立地や風向き、近隣住民の生活環境を考慮し、臭気が広がらないような配慮が必要です。
対策としては、活性炭フィルターで物理的に吸着したり、薬液洗浄法を用いて化学的に中和する脱臭装置を導入したり...。
それだけではなく、近隣住民とのコミュニケーションとして、定期的な説明会の開催や、工場の取り組みを共有する場を持つことで信頼関係を築くということも非常に重要になってきます。
ーーニオイに対しての対策はもちろんとして、近隣の方々とのコミュニケーションこそが重要なポイントであると...。
相馬|
そうなんです。これらの対策を組み合わせることによって、臭気問題を効果的に管理し、近隣住民との良好な関係を維持することができます。そういったことも含めて、私たちのような専門家にアドバイスを求めた方がいいことは確かです!
ーー色々な業界にニオイの問題があるんですね。それぞれの対策も踏まえて、多くの経営者が意識を高めていかないといけませんね。
後編につづく
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