250107.JPG 厚生労働省は2025年2月1日から2月28日までの1ヶ月間、「広く一般に職場における危険・有害な化学物質管理の重要性に関する意識の高揚を図るとともに、化学物質管理活動の定着を図る」ことを目的として、「化学物質管理強調月間」を実施します。
 この「化学物質管理強調月間」は今年度が初の実施であり、今後は毎年度2月に実施することになります。

新たな化学物質規制

 労働衛生における化学物質規制については、2022年に労働安全衛生規則等の改正が行われ、2024年4月に完全施行されています。新たな化学物質規制は、事業者による自立的な管理へ移行していくとされ、今までの国が具体的な対策を定め義務化する個別規制から、事業者が現場に適した対策を決めて実施していくことが求めれられるようになります。

 化学物質の自律的な管理としては、事業者自らがリスクアセスメントにより危険性・有害性リスクの評価を行い、その結果に基づきばく露低減措置を行うことが定められています。そして、その実施に当たっては、事業場毎に選任した化学物質管理者を中心とした体制を構築することや、リスクアセスメントの基本情報となる安全データシート(SDS)等で危険有害性を伝達し、使用者がその内容を理解することも重要となってきます。

 これらの管理方法は、これまでの個別規制とは考え方が大きく変化しており、その定着を図るために、新たに「化学物質管理強調月間」を創設したと考えられます。

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化学物質管理強調月間での各事業者の取り組み

 今回の「化学物質管理強調月間」においては、主唱者である厚生労働省や中央労働災害防止協会等が実施するイベントの他、各事業者での実施事項として、以下の9項目が掲げられています。

 (各事業者の実施事項)

    ア 製造し、又は取り扱っている化学物質の把握及び、化学物質のSDS等による危険有害性の確認
    イ 特定化学物質障害予防規則等の特別規則、石綿障害予防規則の順守の徹底
    ウ ラベル表示・SDS交付、リスクアセスメントの実施等
    エ 化学物質管理者の専任状況の確認
    オ 日常の化学物質管理の総点検
    カ  事業者又は化学物質管理者による職場巡視
    キ スローガン等の掲示
    ク 有害物の漏えい事故、酸素欠乏症等による事故等緊急時の災害を想定した実地訓練等の実施
    ケ 化学物質管理に関する講習会・見学会等の開催、作文・写真・標語等の掲示、その他化学物質管理への意識高揚のための行事等の実施

 あらゆる化学物質には、有用性とともに何かしらの危険性や有害性があります。メリットを活かすためには、デメリットも十分に把握しそれに対する対策を行っておくことが大切です。
 この「化学物質管理強調月間」を機会に、新たな化学物質規制に対する対応状況を振り返るとともに、化学物質のリスクを知り、より健康的な職場環境を目指していただきたいと思います。

 弊社においても、事業場における化学物質管理の中心となる化学物質管理者の方などをサポートするサービス提供を行っていくとともに、当月間には、労働安全衛生規則等の改正に即した化学物質管理のセミナーや、建築物等での有害性リスクが懸念されるアスベストに関するセミナーのWeb開催を予定しています。ぜひ参加していただき労働災害防止の一助になれば幸いと思います。

経営企画室 灰塚(作業環境測定士)