少し前になりますが、2023年4月に「騒音障害防止のためのガイドライン」が改訂されました。
本ガイドラインは、労働者の騒音障害を防止するために、測定等の実施が義務付けられている作業場以外でも、騒音レベルが高いと思われる作業場についての騒音障害防止対策を定めたものになります。
対象となる騒音作業場は?
ガイドラインで対象としている騒音作業場には2種類あり、別表第1に8作業場が、別表第2に52作業場が定められています。
別表第1の作業場は、労働安全衛生規則によって作業環境測定の実施や聴覚保護具の備え付けなどが義務付けられている著しい騒音を発生する作業場、別表第2の作業場は、測定等の実施が法令で義務付けられているわけではありませんが、大きな騒音が生じる可能性が高い作業場となります。
ガイドラインの主なポイント
ガイドラインの主なポイントは下記の5点が挙げられます。
①騒音障害防止対策の管理者を選任する (改訂により追加)
衛生管理者、安全衛生推進者などから騒音障害防止対策の管理者を選任し、組織的にガイドラインに基づく対策を行って下さい。
②作業場ごとの適切な測定等を行い、結果に応じて必要な対策を講じる(改訂により一部追加)
屋内作業場であれば作業環境測定を、トンネル内など坑内作業場であれば定点測定を、屋外作業場であれば定点測定又は個人ばく露測定を行うなど、作業場ごとに6カ月以内に1回の測定を実施して下さい。
測定の結果から、対策が必要だと判断された際には、低騒音型機械への更新や防音塀の設置、労働者に 耳栓やイヤーマフなどの聴覚保護具を使用させるなど適切な対策を実施して下さい。
③聴覚保護具は適切な遮音値のものを用いる(改訂により追加)
メーカーカタログなどに聴覚保護具ごとの遮音値が公開されていますので、必要かつ十分な物を選定して下さい。但し、危険作業などにおいて安全確保のために周囲の音を聞くことや会話が必要な場合は、遮音値が必要以上に大きいものを選定しないように注意して下さい。
④雇入時等健康診断、定期健康診断を実施し、結果に応じて措置を講じる
騒音作業に常時従事する労働者には、あらかじめ雇入時等健康診断を実施して下さい。
また6カ月以内に1回の定期健康診断も適切に実施し、結果に応じて聴覚保護具の使用や騒音作業に従事する時間の短 縮、配置転換など必要な措置を講じて下さい。
なお、定期健康診断を実施した際にはその結果を労働基準監督署に報告する必要があります。
⑤管理者、労働者にそれぞれ教育を行う
選任する管理者には、下記の科目について教育を行う必要があります。
1)騒音の人体に及ぼす影響
2)適正な作業環境の確保と維持管理
3)聴覚保護具の使用及び作業方法の改善
4)関係法令等
また、騒音作業に労働者を従事させる際には、上記の1)及び3)の一部について教育を行って下さい。
騒音障害を防ぎましょう!
測定の結果から、対策が必要だと判断された際には、まず騒音発生源対策や伝搬経路対策を検討してみて下さい。
それでも対策が不十分な場合には聴覚保護具を使用することになりますが、使用の際に緩みや隙間があるとせっかく着用していても十分な効果が得られませんので、正しく装着することを心がけて下さい。
測定や教育に関する部分では、オオスミでもご協力出来ることがありますので、何かございましたらお問い合わせ頂ければと思います。
一度失われた聴力は元には戻りません。適切な対策を行い、騒音障害を防ぎましょう。
出典:厚生労働省 都道府県労働局・労働基準監督署:騒音障害防止のためのガイドラインパンフレット
参考資料
厚生労働省:リーフレット~騒音障害防止のためのガイドラインを改訂しました~
厚生労働省 都道府県労働局・労働基準監督署:騒音障害防止のためのガイドラインパンフレット
厚生労働省:【通達】騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について