hotel.jpg ホテル業界では、お客様に快適な環境を提供するために様々な技術が活用されています。
 中でも、オゾンを使用した消臭作業は高い消臭効果を持ち、特に効果的な方法として多くの施設で導入されています。
 オゾンには強力な酸化力があり、これがニオイの原因成分を酸化分解することにより高い消臭効果が得られます。しかし、この酸化力は人体にも影響を与えてしまうものです。このためオゾンの取り扱いには十分な安全管理が必要です。

短時間濃度基準の適用

 オゾンは労働安全衛生法におけるリスクアセスメントの対象物質であり、事業者によるばく露防止措置の実施が義務付けられています。さらに、2025年10月からは、オゾンの短時間濃度基準として0.1ppmが新たに適用されます。この基準は、作業者のばく露の程度(作業者が呼吸で吸入する空気に含まれるオゾンの濃度)が、作業中の如何なる時間においても15分間の平均値として基準値を超えてはならないと定められたものです。

 オゾンは非常に強力な酸化剤であり、高濃度でのばく露は呼吸器系に深刻な影響を及ぼす可能性があります。このため、この濃度基準を順守することはオゾン消臭作業を行なう作業者の健康を守るために重要です。

 ばく露の程度を濃度基準以下とするための対策内容は、リスクアセスメントを行ってリスクを評価し、その評価結果に基づき事業者が決めることになります。一般的なオゾン消臭の作業手順では、オゾン発生機を自動運転で稼働させ、無人の状態でオゾンを発生させます。その後、オゾンを一定時間放置し、換気を行って濃度が低下したことを確認してから、作業者が室内に入る流れとなります。

 このとき、室内のオゾン濃度が濃度基準値0.1ppmを下回り入室が可能なことを、どのようにして確実にするのか、事業者は、その方法を検討し、作業者に周知して実行する必要があります。そして、これらを管理する役割として、必要な知識をもった「化学物質管理者」の選任が義務付けられています。

 また、ばく露低減対策として防毒マスクなどの呼吸用保護具を使用する場合は、「保護具着用管理責任者」の選任も義務となります。

ホテル業界の対応

 オゾン消臭作業における作業者の健康を確保するためにホテル業界では以下の対応が求められます。

1. 化学物質管理者と保護具着用管理責任者の役割を確立
 オゾン濃度の低減措置と保護具の適切な使用を確実に行うために、これらの管理責任者の役割を確立することが重要です。

2. オゾン濃度の測定体制の整備
 作業エリアのオゾン濃度を定期的に測定するための体制を整え、規定値を超えないように管理します。

3. 保護具の調達および使用の徹底
 作業員が適切な保護具を常に使用できるように、保護具の点検と教育を行い、作業員の安全を確保します。

最後に

 2025年10月から施行されるオゾンの濃度基準値を順守することは、作業員の健康を守るために重要です。化学物質管理者と保護具着用管理責任者の役割をしっかりと設け、管理体制を整えることで、効率的にこの規制に対応することが可能です。
 お客様に安全で快適な環境を提供し続けるため、ホテル業界は最新の規制情報を常に把握し、適切な対策を講じることが求められます。

 営業グループ 相馬