令和3年7月、静岡県熱海市において、大規模な盛土崩壊が発生しました。
崩壊した土量は約5.6万m3と推定されており、原因としては、建設発生土の不適切な盛土及び崩落直前の降雨が影響していると考えられます。
国土交通省では、このような盛土崩壊事故を防止するため、建設発生土の有効利用等を促進して不適切な盛土を減らすために、土の搬出先の明確化等の盛土規制法の強化を進めています。
出典:国土交通省HP 静岡県熱海市伊豆山逢初川で発生した土石流災害に対する対応状況
2.土の搬出先の明確化等について
土の搬出先の明確化等の政策は、大きく2つの骨子となっています。
以下にその内容を説明します。
- ①指定利用等の徹底
指定利用等とは、工事の発注段階で建設発生土の搬出先を指定することをいい、すべての公共工事発注者に指定利用等の原則実施を要請しています。この規制により、小規模な水道埋設工事など、今まで調査が不要だった案件についてお客様からの調査依頼が増えています。
- ②資源有効利用促進法による制度強化
元請業者に対し、搬出先(他の工事現場、残土処分場)等を記載した再生資源利用促進計画の作成・保存を強化していくもので、発注者への計画書の報告と現場への計画書掲示の義務化の他に、建設発生土の搬出先に対して盛土規制法の許可が取得されているか事前に確認する必要があります。さらに、新たな制度としてストックヤード運営事業者の登録制度を創設しています。
3.ストックヤード運営事業者登録制度
ストックヤードとは、再び搬出することを目的に、外部から搬出された建設発生土を一時的に堆積する場所のことです。
ストックヤード運営事業者登録制度とは、一定の要件を満たすストックヤード運営事業者を国に登録する制度で、令和6年6月から施行されています。登録されていないストックヤードを経由すると、最終処分先までの追跡が困難になることや元請け業者の手間がかかるなどの懸念が予想されます。
それに対して、ストックヤードに登録している搬出先を使用すると、最終処分先の確認は運営事業者が行うため、先ほどの懸念事項が解消されるメリットあり、登録ストックヤードが搬出先として選ばれやすくなります。ストックヤード登録数としては、令和6年9月現在で823件と増加傾向であり、今後、この制度が活用されることで、建設発生土の適正処理及びリサイクルの促進が期待されています。
出典:国土交通省HP :[ストックヤード業者向けチラシ]ストックヤード運営事業者登録制度(令和6年3月更新)
4.まとめ
ストックヤード登録制度などの建設発生土の搬出先の明確化により、今後は建設発生土の性状をより正確に把握することが要求されると考えられます。
弊社では建設発生土の調査・分析を行い、スムーズに搬出できるようお手伝いいたします。