最近、ニュースなどで「PFAS(ピーファス)」と言う言葉がよく聞かれるようになりました。国が全国の水道事業者などに水質検査の結果などを9月末までに報告するように要請したことから、また自主的に調査をする企業もあり、オオスミへの相談も増えています。
今回は、そんなPFASの概要や現行の規制、どんな分析があるのかなどをご紹介します。
PFASって何?
PFASは約4,700種類あるとされる有機フッ素化合物の総称です。
代表的な物質にPFOS、PFOAやPFHxSなどがあります。水や油をはじき、熱に強い性質があることから、焦げ付きにくいフライパンの表面加工、食品の包装紙、泡消火剤など、日用品から産業用途まで幅広く利用されてきました。
しかし、一度生物の体内に取り込まれると蓄積されやすいことなどから、日本では2010年にPFOS、2021年にPFOA、2024年にPFHxSが「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」の第一種特定化学物質に指定され、製造・輸入が原則禁止となりました。
PFASの健康リスク
PFASは環境中でほとんど分解されず、人体や環境中に長く残るため「フォーエバー・ケミカル(永遠の化学物質)」と呼ばれています。
世界保健機関(WHO)のがん研究機関(IARC)は、PFOAを4段階中最も高い「発がん性がある」に分類(同じ分類には、アスベストやたばこの煙が含まれる)、PFOSは上から3番目の「発がん性がある可能性がある」に分類しています。
主なリスク | 詳細 |
---|---|
脂質異常 | 血中の脂質バランスが崩れ、動脈硬化などのリスクが高まる可能性がある |
抗体反応の低下 | 免疫反応が弱くなり、感染症への抵抗力が低下するおそれがある |
腎臓がん | 長期的な摂取や蓄積が、腎臓がんのリスクを高める可能性がある |
乳児・胎児の成長 | 胎児期や乳児期の発育や発達に悪影響を及ぼすおそれがある |
※環境省「PFOS、PFOAに関するQ&A集(2024年8月)」
PFASの基準値&調査のガイドラインなど
現在、日本の水道水の暫定目標値は、PFOSとPFOAの合算値が「1リットル当たり50ナノグラム」です。飲料水の他にも、環境水(河川水、地下水)、排水、廃棄物、土壌、消火器などの製品の調査も行われています。
主なガイドラインなど
● 水質汚濁に関わる人の健康の保護に関する環境基準等の施行等について
● 工業用水・工場排水中のペルフルオロオクタンスルホン酸及びペルフルオロオクタン酸試験方法
(JIS K 0450-70-10:2011)
● (飲料水)水道基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等並びに水道水質管理に
おける留意事項について
● (土壌)土壌中の PFOS、PFOA 及び PFHxS に係る暫定測定方法(溶出量・含有量試験)
● 要調査項目等調査マニュアル(水質、底質、水生生物)
● PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項
● (製品)欧州CEN/TS 15968
PFASは様々なところで利用されていることから、コンタミネーション(汚染)が起こる可能性があります。そのため、対象媒体に合わせた容器の選定や事前の洗浄など留意する必要があります。
オオスミでは、調査目的に合わせた、対象項目や基準値、分析方法のご提案、お客様採取の場合のアドバイスなどをいたします。
PFAS(PFOS,PFOA,PFHxS)の分析はオオスミへご相談ください!