日本国内では、事業者にとって省エネの取組みは高額な投資になることが多いにも関わらず、なかなか期待した効果が得られないことが多く見受けられます。
今回は、意外と正しく理解されていなかったり、知っていても効果的に省エネに繋がっていない、契約電力の仕組みについて説明します。
契約電力(=最大デマンド)が決まる仕組み
「契約電力は最大デマンドで決まる」という点はご存知の方も多いと思います。具体的には、30分毎の計測値において1ヵ月計測した中の最大デマンドが月の最大デマンドになり、またそれを1年間計測し続けた結果が年間の最大デマンド=契約電力になります。
また、ピーク電力を超えた場合は自動更新又は違約金を支払うシステムとなっており、この契約電力は1年間固定です。
なぜ最大デマンドで契約電力が決まるのか、その理由は国内の発電電力の構成に関係しています。
国内の主要発電電力の構成は、図2に示すように火力発電が76%を占めています。火力発電は、燃焼開始後発電開始まで時間を要するため、各電力会社は利用者の契約電力(=最大デマンド)を考慮して、停電が発生しないように予備の発電設備を稼働させています。
たった30分間の使用で年間電気代が決まる?!
たったの30分間、通常よりちょっと多く電気を使ってしまったために1年間の電気料金が高くなると考えると、非常にもったいないと思いませんか?
例えば、朝、出社してオフィス内が暑い(または寒い)とエアコンの設定温度を一時的に大きく下げる(または上げる)ことがあると思います。この様な場合にデマンド値が上がります。
特に、月曜など休み明けは、建屋内が密閉状態及び外気に近い温度となっていることが多く、出社しエアコンを30分以内に全て稼動させた場合、デマンド値が上がります。
デマンド管理で、コストダウンとCO2削減
上述の通り、最大デマンドを下げることで、利用者にとっては電気料金の削減に繋がります。それと同時に、電力会社では予備発電の量を抑えることができますので、CO2排出量の削減に繋がります。
地球にやさしく電力会社のCO2排出係数を抑制するためにも、最大デマンドが上がらないように努めていきましょう。例えば、デマンド監視装置を設置して、設定値を超えそうになったらアラートを出すことで、電気の使用を控える行動を促すことができます。また、自家用の太陽光発電パネルを導入することも最大デマンドを抑制する一つの手段にもなります。