1月に入ってめっきり寒くなってきました。寒がりの私としては、使い捨てカイロが手放せない季節です。子供の頃、なぜ熱を発するのか不思議だった"使い捨てカイロ"も今となってはそんなに不思議な感じはなくなりましたが、発明したひとは"スゴイ!"です。
カイロの原理
カイロの材料としては、鉄粉、水、バーミキュライト(保水材)、塩類、活性炭と書かれているものが多いようです。発熱の原理としては、鉄が酸素と反応する際に発生する熱を利用しています。鉄が酸素と反応することは,錆(さび)ることと同じです。発生させる主な要素は、鉄、水、酸素だけですが、必要なときに簡単に"熱"を得るためには、反応をコントロールする必要があり、促進材として塩類や活性炭も入れているようです。
カイロの中身
酸化反応の化学式として、下記の表示をしたものをよく見かけます。
Fe+3/4O2+3/2H2O→Fe(OH)3+96Kcal/mol
(水酸化第二鉄)
水酸化第二鉄は、実際に存在する化学式を表している訳ではないため、使用済みの"使い捨てカイロ"の中身を細かく粉砕し、XRD(粉末X線回折装置)を用いて調べてみました。
調べてみた結果、鉄を含む化合物としては、下記の淡水環境下で発生する腐食生成物と同様の化合物を含むことわかりました。
・Goethite,syn(ゲーサイト)[FeO(OH):αオキシ水酸化鉄]
・Magnetite,syn(マグネタイト)[Fe3O4:四酸化三鉄(砂鉄)]
水酸化第二鉄に相当するものは、αオキシ水酸化鉄として存在し、多くの四酸化三鉄も存在することがわかりました。そのため、実際の熱量は少し違っている可能性があります。測定回数が少なく、使用する前の"使い捨てカイロ"の鉄粉は純鉄であるのか確認してないので言及はさけたところなのですが、驚きなのは、使用済みの"使い捨てカイロ"からは未反応の鉄粉がほとんど確認されなかったということです。
もし、仮に鉄粉の全てが一様に反応したのであれば配合を上手く考えられた発明品だと思います。