私は分析技術グループの中で金属分析を担当しています。金属分析ではさまざまな機器を使用しており、排水や土壌溶出液など毎日測定しています。検体数の多い金属分析では、機器への汚れなどダメージの蓄積は避けられません。
今回は正確な値を出すために欠かせない、日ごろの分析機器メンテナンスをご紹介したいと思います。
毎日のメンテナンス記録
各分析機器には「日常点検記録表」があります。これには、毎日チェックする箇所、週一回チェックする箇所、月一回チェックする箇所が記載されており、いつどこをメンテナンスしたかすぐに分るようになっています。異常があった場合や、部品を交換した場合など日々の様子も細かく記録していきます。
また、毎日の感度チェックも欠かせません。異常が起きると感度に影響が出ることが多いため、こちらも毎日記載していき、ちょっとした変化を見逃さないようにしています。
この「日常点検記録表」への記載内容によって、メーカーの方にメンテナンスに来ていただいた時も、経緯が説明し易く、スムーズに対応していただけます。
汚れは目に見えないもの
日々の汚れが蓄積していくといっても、目に見える汚ればかりではありません。機器に導入されるラインは細いチューブで繋がっており、複雑な形をした部品も多々あります。見た目は汚れていないからとそのままにしていると、詰まりの原因にもなるし、測定したい元素が汚れに吸着されてしまうこともあります。
そのため、定期的に洗浄・交換を行うことにより、汚れが定着してしまうことを防ぎ、正確な測定ができる状態を保てるようにしています。
機器に詳しくなると分かること
機器によって、測定原理や内部構造もさまざまで、担当当初は機器トラブルにうまく対処できませんでした。過去の担当者やメーカーに問い合わせたり、文献を検索したりして学びながら対処していくうちに知識が身についていき、この様子だとここが怪しいな、この部品を洗浄してみようかな、と不具合箇所を予想しながらだんだんと自分で対処できることも増えてきました。
分析機器が止まってしまうと、納期に間に合わなくなってしまうという最悪の事態も起こり得ます。そうならないよう日々のメンテナンスから些細な変化を見逃さず、大きな故障になる前に対応していくことを、これからも心掛けていきたいです。