土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査において、土壌中の気体を採取し、法に規定される第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)を測定する土壌ガス調査を実施することがあります。
今回は、オオスミではじめて土壌ガス調査を実施しだした当時のエピソードについてお話させて頂きます。
初めての土壌ガス調査依頼
最初に土壌ガス調査を実施したのは、平成6年と記憶しています。
土壌ガス調査は、平成15年の環境省告示第16号(最終改定:平成29年)に準拠した試料採取や測定を実施していますが、それよりも10年近く前の話です。
「オオスミさん土壌中のガスを採取してガスクロマトグラフィーで分析をお願いします。」とのご依頼から始まりました。
当時の土壌ガス調査は、「君津式表層汚染調査法」という検知管を用いた簡便に調査できる手法が多く採用されて当社でも行っていましたが、土壌中のガスを採取してガスクロ分析という事例は聞いたことがなく、分析は対応可能だけど試料採取の方法も具体的に示されていないためどうするか悩みました。
自分たちで編み出した試料採取方法
ご依頼をうけて実際のサンプリングまでは、一週間程度の限られた準備の時間しかありませんでした。そんな状況で、社内で検討した結果、以下の方法を採用しました。
◆大気サンプリング「間接採取法」を土壌中のガス採取に適用
吸引箱をポンプで減圧しながら、箱内部に取り付けた吸着しにくく、透過しないバックにガスを吸入する。
単純に考えれば、ポンプで土中のガスを吸い上げて何かしらの容器に納めれば良いのかもしれませんが、測定する対象物質の吸着や減衰の問題やコンタミネーションの観点からこの方法を採用したのでした。
土壌ガス調査のパイオニア
「土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法を定める件(平成15年の環境省告示第16号)」の試料の採取には、今回紹介させて頂いた、捕集バック法の他に減圧捕集瓶法、減圧捕集瓶を用いた食塩水置換法、捕集濃縮法が規定されていますが、最もポピュラーな土壌ガス採取法と思われる、捕集バック法がほぼ当時のままの内容で、規定されているのを見ると、考え方があっていたのだと嬉しく思います。
なお、現在もこの手法で土壌中のガスを採取しています。(捕集バック法)