2018年1月に、有機溶剤作業主任者講習を受講してきました。受講時に感じたことや、受講後に考えたことについてお話しさせていただきます
作業主任者とは
労働安全衛生法やその他関連法により、労働災害を防止するために、高圧室やボイラー、放射線、建設関係、化学物質の取扱い等、その作業の区分ごとに、作業主任者の専任が定められています。
作業主任者がどの様な職務を行うかは、各労働省令に示されていますが、有機溶剤作業主任者の場合は以下の内容が主な職務となります。
① 作業者が有機溶剤等のばく露を受けない様、作業方法の決定・指揮を行う
② 局所排気装置等の換気装置について、1月を超えないごとに点検を行う
③ 有機溶剤保護具を作業者が正しく使用しているか、監視を行う
④ タンクの内部において有機溶剤業務に労働者が従事する時の必要な措置の確認
有機溶剤作業主任者は、2日間の講習と試験を経て、その資格を得ます。
講習内容は、労働衛生管理や保護具、有機溶剤に関する知識、関係法令、作業環境測定や局所排気装置等々、かなり広範囲な内容を2日間で学ぶため、このような内容について見るのも聞くのも初めての方は、かなり大変だろうなと感じました。
私は作業環境測定士として、普段作業環境測定業務に携わっています。作業環境測定とは、有機溶剤や特定化学物質、粉じんや騒音等の有害因子について測定を行い、その作業環境を評価し、必要な対策を行っていくための情報を得て、改善提案等を行っていく業務です。
有機溶剤は作業環境測定の対象物質であるため、有機溶剤作業主任者の選任について定めている有機溶剤中毒予防規則についてある程度理解しているつもりでしたが、有機溶剤等のばく露によりおこる皮膚や呼吸器からの吸収による健康影響だけではなく、様々な事故事例もあり、まだまだ勉強不足であるなと感じさせられました。
講習終了時に講師の方も言っておられましたが、今回学んだ内容をそれぞれの職場に持ち帰っていただき、必要な対応を確認して少しずつ理解を深めていってもらえたら良いとお話しされていたので、安全で快適な職場づくりを協力しながら皆で作り上げていくのが、作業主任者が行うべき大切な業務であると感じました。
嬉しく感じたこと
先日、某研究所に作業環境測定の依頼を受けて測定に伺ったところ、現場で作業を行っていた女性が作業環境測定についてご存じだったので、少し驚きました。お話を伺ったところ、有機溶剤作業主任者の講習を受けたので覚えているとの事でした。作業環境測定を行っている作業場でも、この測定について知っているのは一部の方で、一般的にあまり馴染みのない職業であると感じておりましたので、とても嬉しく思いました。
作業環境測定を行う時には様々な情報を収集するために、訪問先のご担当者様だけではなく、職場で選任されている作業主任者の方にもお話を伺ったりもします。作業主任者の方がその作業について良く理解されている場合が多いので、測定を行わせていただくうえでとても重要な情報を得る事が出来ます。
また、測定を行った結果から、得られた情報をもとに行う改善提案等についても、作業主任者の方とも共有することで、より良い作業環境づくりが出来るのではと考えます。
これから受講される方へ
配置転換等で新たにこの資格を受講する方がいらっしゃると思います。職場の安全衛生を維持管理するうえで大切な業務です。「有機溶剤を取扱っているけど作業環境測定は必要なのかな?」等、気になる点がございましたら、何かお手伝いできることがあるかもしれませんので、お気軽にお問合せ頂ければと思います。
作業環境測定士として作業環境管理に関わる上で、働かれている方々が、「長く安全に安心して働ける」様、微力ながら一緒にお手伝いをさせて頂ければと考えております。