環境分析を行うにあたり、今や分析装置は欠かせない存在です。もちろん、水の汚れの指標であるCOD(化学的酸素要求量)の測定や、シアンやフッ素のように特殊なガラス器具を用いた蒸留法など機械に頼らない手法もあります。
しかし、多くの定性・定量分析では、溶液中のイオンを測定するIC(イオンクロマトグラフィー)やVOC(揮発性有機化合物)を測定するGC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)のように工程のどこかで分析装置を用いることとなります。
オオスミには数多くの分析装置がありますが、分析者として、お客様へ精度良くご報告するには、これらをきちんと使いこなさなければなりません。
「使う」と「使いこなす」の違い
電子レンジのような家庭の電化製品とは異なり、分析で使用する装置は、特殊なものになりますが、機械であることは変わりません。装置もどんどん進化しているため、特殊であるとは言いつつも、ある程度の技術的知識を保持していれば、説明書を片手に操作することは可能です。
しかし、これは単に操作している=「使える」だけの状態です。きちんと装置の特性や原理を理解し、得られた数値が適正だったかを判断でき、且つ、メンテナンスもできる、これが「使いこなす」という意味になります。
装置との対話
使いこなすには、正しい技術的知識を蓄える必要があり、勉強会への参加や個々に勉強する等、それぞれで奮闘しています。
そして、実践です。熟練者指導の下、日常点検や定期点検を適切に行い、原理・特性の理解を深めていきます。さらに、オオスミでは、装置に対する個々の責任者を設け、万が一の故障時にも対応できるようにしています。
故障内容によっては、メーカー対応を必要としますが、自分たちで対応できるものもありますので、その見極めと適正な対応を行っています。
しかし、なぜか不思議と、ひとつの装置が不調になると他の装置も不調になる、という連鎖が稀に起こります。購入時期が近いからでしょうか、電化製品の定めなのでしょうか。そんな時は、業務が進まないので、滅入るときもありますが、熟練者は装置と対話しながら何とか乗り切ります。
作業者ではなく技術者に
装置は進化し、オートメーション化も進んでいます。便利な分、人は楽をしたくなります。
時代に逆行しようとしているわけではありませんが、ただ単に「使える」だけではなく、技術者として責任を持ち取り組むべき大事なことを忘れずに、これからも分析装置を使いこなす技術者でいたいと思います。