2012年、化学物質による健康被害となった胆管がん問題を経て、2014年6月に労働安全衛生法の一部を改正する法律が公布されました。
この法律の施行により、2016年6月1日から一定の危険性・有害性の認められている化学物質(SDS(安全データシート)の交付が義務付けられている640物質)について、すべての事業者におけるリスクアセスメントの実施が義務付けられました。
また、2017年3月1日からは、新たに27物質がリスクアセスメントの対象物質として追加されます。
リスクアセスメントは、以下のような手順で進めます。
① 取扱われる化学物質の危険性または有害性の特定を行います。
② 特定された危険・有害性に対するリスクの見積りを行います。
③ 見積ったリスクに対する低減措置の検討を行います。
④ 検討されたリスクの低減措置を実施します。
⑤ リスクアセスメントの結果について、労働者への周知を行います
化学物質の管理と対策についての今後の課題
胆管がんの原因物質と考えられている1,2-ジクロロプロパンは、当時、特別規則(特定化学物質障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則等)の対象外の物質であり、管理や対策が十分に行われていなかったのではないかと想定されます
同じく2015年にはオルト-トルイジンをはじめとした芳香族アミンの取扱い作業に従事していた労働者の膀胱がんとの関連性について指摘があり、調査・検討が進められました。その結果、特定化学物質(第2類物質)への追加、作業環境測定結果、健康診断結果、作業記録等の30年間保存の義務付けを行うこと等を取り決めた特定化学物質障害予防規則・作業環境測定基準等の改正※が昨年公布され、2017年1月1日に施行されました(一部に経過措置あり)。
※詳細はオオスミHPトピックス「オルトートルイジンが特定化学物質として規制されました!」をご確認ください。
2016年現在、事業活動などで取扱われている化学物質の数は約6万種類あるとされており、今後も増加傾向にあります。
これらの物質の中には、危険・有害性のはっきりわかっていない物質も含まれているため、更なる管理と対策の検討が今後の課題とされています。
作業環境測定士として考えること
今回のリスクアセスメントの実施の義務化は、「一定の危険性・有害性のわかっている化学物質について、その有害性を認識した上で、正しく取扱うことが最も重要」とされており、これらの管理を継続して行なっていくことが、健康被害等のリスクの低減につながっていくと思われます。
作業環境測定士として作業環境管理に関わる上で、そこで働かれている方々が、長く安全に安心して働けるように、微力ながらお手伝いをさせて頂きたいと考えております。
私たちオオスミでは、作業環境測定を行っていくうえで、様々な改善提案をさせていただいております。
気になる点等がございましたら、何かお手伝いできることがあるかもしれませんので、お問合せ頂ければと思います。