仕事で室内空気環境の分析業務に携わっていると、「シックハウス症候群」や「化学物質過敏症」という言葉が気になります。situnai.pngついつい、テレビで「アレルギー特集」などをやっていると見てしまうのですが、最近それらの言葉は出てこないことが多くなりました。事実、ひと昔前に流行ったピーク時の需要と比較すると、現在は減少傾向にあります。オオスミで分析させて頂いている箇所でも指針値を超過する割合が減ってきているようです。

要因は建築材料の改善

 この背景には、建築基準法による使用制限や技術の進歩によるものが大きいと考えられます。これらを引き起こす原因物質となる溶剤、例えばホルムアルデヒドやトルエンのような、揮散の高い物質の含有量を低減した建材や接着剤、揮散自体を抑える塗料の開発と、様々な側面から内装材は改良され、有害物質は軽減されています。以前のような、目のかゆみ・痛み、或いは、吐き気、頭痛などの症状を引き起こす確率も少なくなってきているのではないでしょうか。
 しかし、少なくなってきていても、心配はあります。いつ何時、誰にでも起こりうるため、このように書いている私にも症状が出る可能性は潜んでいるのです。

室内空気環境測定で「安全」と「安心」を届ける

 化学物質を測定する室内空気環境測定は、建築工事や改修工事の施工後に行うことが多いです。分析1.png仕様や条件にもよりますが、現場では、30分換気を行い、室内を5時間以上密閉した後測定器具で室内空気を採取します。その後、オオスミへ持ち帰り、社内で分析を行います。

 分析工程では、測定器具より、溶剤にて目的物質を抽出し、高速液体クロマトグラフとガスクロマトグラフ質量分析装置で測定します。大量入荷にも対応可能な装置を保持していることに加え、長年培った個々の高い技術力も備わっています。室内空気環境測定は、気密性や温度、湿度などの様々な環境条件によって、値が異なります。現場の状況も含めて、総合的に値の妥当性を判断しています。
分析2.png  そして、現場採取から報告書提出まで、スムーズな連携で、速さと精度を保ち、1日でも早くご報告し「安全」と「安心」を皆さんへお届けしたいと考えています。

分析技術グループ 金子