私は経済産業省のインターンシップ制度を利用し、6ヵ月間ミャンマーの旧首都ヤンゴンに滞在し、今年2月に帰国しました。ミャンマーは、自然豊かで暖かくて過ごしやすく、出会った人々も穏やかで楽しいことが大好きで、すっかり虜になってしまいました。
ここでは、私が感じた現地の環境問題を、日本の環境基本法に挙げられている典型7公害に沿って書きたいと思います。
<1>大気汚染
大規模な重工業地帯がありませんので、空気はきれいに感じました。しかし近年の急速な民主化によって、車の輸入規制が緩和され、今日のヤンゴン市街はいまや中古車の大渋滞です。中古車の中にはエコカーもあったのかも知れませんが、古い車が増えることで、将来、大気が汚染されないか少し心配になりました。
<2>水質汚濁
川の水は泥で濁ってはいましたが、含まれる有害物質は少ないと思います。私の滞在したヤンゴンでは、ヤンゴン市開発委員会(YCDC)に指定された工場は、排水処理装置を設置することとなっていました。しかしながら、無害化されずに周囲の小川などに廃水が流されている場面も目にしました。
<3>土壌汚染
土壌の汚染は蓄積型なので、環境に配慮しないまま長期間操業を続けてきた工場は、意図しない汚染土壌を作り出してしまっているかも知れません。汚染土壌は、地下水を汚染し、井戸水を汚染することで住民が被害を受ける心配があります。ミャンマーは国有化されてきた工場が多く、20年、30年前の施設・設備が今でも稼働していました。
<4.5>騒音と振動
道路やビルの建設が盛んです。私の滞在していた部屋の周りでは、夜間にも道路工事が行われていましたが、ヤンゴン中心街に住んでいるミャンマーの人々は音や地響きをあまり気にしていない印象を受けました。
<6>地盤沈下
地下水の過剰採取による地盤沈下の例は聞きませんでした。地盤沈下とは別問題ではありますが、雨期になると、豪雨のたびに低地の道路が水没して川の様になり、人も車も通れなくなります。ヤンゴン市街でさえ、通れなくなる道路がいくつもあり、その場所を示す地図が載ったフリーペーパーが重宝されていました。
<7>悪臭
これも公害とは関係ありませんが、ミャンマーで利用したホテルの部屋に、悪臭予防のステッカーが貼ってあったので紹介します。煙草の下は悪臭で有名な果物「ドリアン」です。
環境に対する高い関心
いま、ミャンマーでは環境に対する関心が高まっています。政府も、外国投資法によって、特定の業種が事業を始める前に、環境影響評価報告書の提出を求めることもあり、自分の国の環境を守ろうとしています。
私は2015年2月13日に、環境保全林業省(MOECAF)らが主催する『Symposium on Environment in the Sustainable Development of Myanmar』に参加してきました。話題は、環境政策や、輸送に関する環境問題、野生生物や水源の管理、大気質の測定方法、DNA解析や統計処理など、広い範囲におよび、これからミャンマーが目指す方向を、様々な機関が宣言しあうようなシンポジウムでした。後世に環境面での負債を背負わせまいと、ミャンマーの強い意志も感じられました。
最後は、美しい言葉で締めくくられました。
「今日のシンポジウムで共有した情報を図書館にしまい込まないで下さい。これらの情報を使って行動して下さい。多方面の利害関係者に働きかけて下さい。あなたが行動すれば、これらの情報は役に立ちます。机の上に置かないで下さい。」
オオスミは創業以来48年、公害の歴史と共に歩んできました。これからミャンマーが直面する課題に対し、オオスミの経験を活かして安心と安全を提供していきたいと思いました。