img_keiryo.jpg

 オオスミの分析技術グループでは、お客様からお預かりした試料を分析し、値を報告することを主な業務として行っています。その際の成果品は計量証明書もしくは分析結果報告書です。
 この2つの成果品について、お客様から「前回は計量証明書でもらったのに今回はなぜ分析結果報告書なのか?」というような質問を受けることがあります。

報告書全てが計量証明書となるわけではありません。

 計量証明書は、計量証明事業所として都道府県知事に登録した分析試験所が発行できる、分析結果を記載した報告書のことです。計量証明事業所で発行される報告書は全て計量証明書になりそうですが、実は色々な取り決めがあるのです。

明確な計量法の取り決め事項

 計量証明書に記載する事項は、計量法及び計量法施行規則に定められています。

 計量法施行規則 第四十四条の二
  法第百十条の二第一項 の経済産業省令で定める事項は、次のとおりとする。
 一  計量証明書である旨の表記
 二  計量証明書の発行番号及び発行年月日
 三  計量証明書を発行した計量証明事業者の氏名又は名称及び住所
 四  計量証明を行った事業所の所在地及び登録番号
 五  当該計量証明書に係る計量管理を行った者の氏名
 六  計量の対象
 七  計量の方法(別表第四の第一号から第五号までに掲げる事業にあっては
    計量に使用した計量器)
 八  計量証明の結果
 九  計量証明の事業の工程の一部を外部の者に行わせた場合にあっては、当該
    工程の内容、当該工程を実施した事業者の氏名又は名称及び事業所の
    所在地
 ただし、これは分析結果報告書にも殆ど同じ内容が記載されています。
これ以外にも、発行する場合は、いくつかの条件を満たす必要があります。
(計量法関係法令の解釈運用について 平成26年12月 経済産業省計量行政室)
1. 媒体が、大気(建築物内の空気を含まない)、土壌(産業廃棄物、肥料、鉱物、
   重油は含まない)、水質であること。
2. 濃度には、「風速(速さ)」及び「温度」並びに「透視度」、「電気伝導率」、「色度」、
   「臭気」、「石綿濃度」及び「大腸菌群数」は含まないものとする。
3. 関係法令・JIS等に基づく適切な分析方法であること。
4. 分析結果が法定計量単位で報告されること。
上記内容を満たした場合に、計量証明書には、標章を付すことができます。
 計量法第百十条の二
 計量証明事業者は、その計量証明の事業について計量証明を行ったときは、経済産業省令で定める事項を記載し、経済産業省令で定める標章を付した証明書を交付することができる。

条件を満たしたものだけが、計量証明書となります。

 結局のところ、分析結果報告書が「分析精度が劣る分析方法を用いる」、「定量下限値が高い」など、計量証明書よりも劣るわけではありません。
 分析方法や精度の違いではなく、決められた条件を満たしたものだけが、計量証明書となるのです。

分析技術グループ 小谷