昨年の11月に日本電子株式会社から『弊社製品サポート終了のお知らせ』が郵送されてきました。これは、オオスミで使用している日本電子株式会社製のガスクロマトグラフ・質量分析装置(以下、"GC-MS")JMS-AX505WAについて2015年3月31日(保守契約先については2016年3月31日)でサポートが終了するとの連絡でした。
オオスミにとって、かけがえのない分析装置
現在もまだ元気に動いてくれており、磁場型の質量分析計は四重極型にはない良さがあるので、あと1年半でサポートが終了してしまうというのは非常に残念な気がします。また、需要が少ないからかもしれませんが、現在、このクラスの二重収束型質量分析装置が存在しないのも残念な限りです。
ひと苦労した装置の導入
オオスミでこのGC-MSを導入したのは1993年10月のことで、あれから21年の長きにわたり、微量分析や異物・異臭分析等で活躍してくれました。この装置は、1993年に行われた「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和46年12月環境庁告示第59号。以下、"水質環境基準")の改正により、揮発性有機化合物(以下、"VOC")や農薬の測定用として必要となり導入することになりました。「GC-MS」という装置は、それまでほとんど耳にしたことのない装置であったので、装置を選定するよう指示を受けたときはどのようなところを見て評価すればよいのか非常に困惑したことをおぼえています。当初は、四重極型の装置をターゲットとして、5~6メーカーの装置について検討を行いましたが、最終的にVG INSTRUMENTS社のTORIO1000という装置を選定したところ、日本電子株式会社から中型の二重収束型質量分析装置であるJMS-AX505WAを進められ、最終的にこの装置を導入することになりました。
中型二重収束型質量分析計とはいえ大型の装置であり、出入口の幅がせまいことから実験室の窓ガラスを外して搬入したことをおぼえています。
特殊な分析で活躍
当初は、水質環境基準等で規制されているVOCや農薬の測定に活躍しましたが、その後、専用の四重極型質量分析計(GC-QMS)の導入により、特殊な分析に使用するケースが多くなり、工事現場や工場内で発生した異臭の定性分析、不明液体の定性分析など不明物の特定のための分析や、環境ホルモン等の微量分析などに活躍してくれました。特に、都内のある工事現場で発生した異臭の分析結果がその後の大規模調査につながったことや、化学イオン化・負イオン検出法(NCI法)で行ったエンドスルファンの分析など、印象に残っています。
21年間、本当にありがとう。・・・とはいえ、まだまだ現役!頼りにしています。