土壌汚染状況調査に基づく調査において、土壌中の気体を採取し、法に規定される第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)を測定する土壌ガス調査を実施することがあります。
土壌ガスは、ガスクロマトグラフを用いて分析を実施することが多いのですが、誤って調査対象物質として検出されてしまう可能性もあるということについての話しです。
危険なピークとは
土壌ガス調査は、土壌汚染を評価するうえでの間接的な手法であり、検出された場合、更にボーリング調査で土壌溶出量の測定を行うことが必要となります。
土壌ガス調査は、ガスクログラフのチャート上で、標準物質と採取した試料のピークが同じリテンションタイム※である場合、調査対象物質が検出されていると判断されます。報告時に分析のチャート紙を添付するのが一般的なため、誤って調査対象物質と判定される可能性がある事例があります。
※リテンションタイム(保持時間):試料を装置に注入してから、ピークが現れるまでの時間
図-1 チャートA:標準物質
図-2 チャートB:試料
このチャートを見比べると、調査対象物質のベンゼンが検出されているように見えます。
チャートを重ねてみると
しかし、リテンションタイムが同じであるかどうかの確認で、チャートを重ねてみると試料のリテンションタイムがベンゼン標準物質より少し早いことが分かります。
しかし、通常はこの判定をデータ処理ソフトで行うため、条件設定を適切に行わないと、ベンゼンとして判定してしまう可能性がある危険なピークです。
今回の事例以外にも、特定有害物質のリテンションタイムに類似した危険なピークが確認されているため、常に細心の注意を払い調査・測定を行っています。
調査第一グループ 高橋(利)